岡山理科大学

生命科学部 生物科学科

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世界初・日本発:ミトコンドリア病克服への第一歩へ

2021/12/08

生命科学部・林謙一郎教授と東北大大学院医学系研究科病態液性制御学分野・阿部高明教授らが共同研究で発見したMA-5の開発が大きく進展し、現在治療法のないミトコンドリア病の治療薬として、臨床試験が2022年初頭から開始されます。

国立研究開発法人 日本医療研究機構

世界初・日本発:ミトコンドリア病克服への第一歩―ミトコンドリア病治療薬MA-5の成人健常者を対象とした臨床試験を開始―(2021年12月6日)

https://www.amed.go.jp/news/release_20211206-01.html

詳細

生命科学部・林謙一郎教授は、自治医科大の小坂仁教授、筑波大の中田和人教授、東北大大学院医学系研究科・医工学研究科の阿部高明教授らと共同で、2015年に難治疾患であるミトコンドリア病の進行を抑える効果があるMA-5(インドール3-酢酸誘導体)を発見しました。生命科学部・林謙一郎教授は、このMA-5の分子設計と化学合成を担当しました。(注1) 

ミトコンドリア病は、細胞内のエネルギー産生工場ともいえるミトコンドリアに障害をきたす遺伝性の希少疾患です。神経・筋、循環器、代謝系、腎泌尿器系、血液系、視覚系、内分泌系、消化器系でエネルギー(ATP)産生低下がおこり、幼少期から非常に重篤な障害をきしますが、現在のところ効果があると確定された治療薬はありません。MA-5はミトコンドリア内に存在するミトフィリンという膜タンパク質に結合してATPを増やすという全く新しいメカニズムの薬です。東北大大学院・阿部高明教授を代表とするプロジェクトチームは、AMEDムーンショット型研究開発事業および東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)の支援をうけて、成人健常者を対象として臨床試験を行い、MA-5の安全性・体内動態を確認します。プロジェクトチームは、次の段階としてミトコンドリア病の治療薬としてMA-5を患者さんに投与する第2相臨床試験の実施を目指します。

(注1) ミトコンドリア病に対する新規治療薬の開発‐新規化合物 MA-5 はミトコンドリア病モデルマウスの寿命を延長させる (2015年11月26日)

tohokuuniv-press20151126_01web.pdf